【特別コラム】トランプ関税とアジア

トランプ米政権の関税政策が世界を揺さぶっていますが、インドネシアも例外ではありません。全世界に適用される鉄鋼・アルミ関税と自動車関税に加え、特に大きな衝撃を与えているのは、4月2日に発表された、国ごとに異なる関税率が設定される「相互関税」です。インドネシアには32%という高い水準が設定され、IMFが4月22日に発表した世界経済見通しでは、2025年のインドネシアの経済成長率は従来の見通しから0.4%下がり、4.7%にとどまるとの予想が示されました。もっとも、インドネシアの対米輸出は経済全体の中でそれほど大きな割合を占めるものではなく、GDPの約2%にとどまります。このため、タイ、マレーシア、ベトナムといった、対米輸出依存度が高い他ほかの東南アジア主要国と比べると、その影響は限定的と考えられます(下図参照)。

               (出所:米ホワイトハウス、米商務省、IMF、UN)
              ※米財貿易赤字、対米輸出金額、GDP比は2024年

トランプ米政権は4月9日に相互関税の上乗せ分の90日間の停止を発表しましたが(10%の一律関税は継続)、プラボウォ政権は、迅速にトランプ政権との関税交渉に乗り出し、早くも4月17日に米国で閣僚レベルの協議が行われました。インドネシアのアイルランガ調整相(経済担当)は、米国からのエネルギー(石油、ガス)と農産物(大豆、小麦等)の輸入拡大、重要鉱物分野の協力による米国からの投資促進、非関税障壁の解消に向けた取り組みなどを米側に伝えています。

プラボウォ大統領は、現地調達基準(国産化規制)の緩和や輸入割当量の廃止に取り組むことで、非関税障壁の解消を実現すると明言しました。これらの保護主義的な措置は、インドネシアの伝統的な保護主義を体現するものであり、かねてから産業界から改善の要望が寄せられていました。プラボウォ政権の経済政策は自国中心的な傾向がみられ、外国投資家から警戒される面もあったのですが、トランプ米政権の関税政策を受け、改革に向けた機運やテクノクラートの存在感が高まっているようです。トランプ米政権の大胆な政策により、世界経済は不確実性を強めていますが、外的環境の変化が国内改革への原動力をもたらし、長い目で見れば投資環境の改善につながる可能性も出てきています。

 

住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト 石井順也
https://www.scgr.co.jp/analyst/junya_ishii/

【今月のコラム】~魅惑のラジャアンパット~

皆様、いつもお世話になっております。インドネシア・イーストジャカルタ工業団地/吉田です。
さて今回はインドネシアのダイビングに付いてお話をさせて頂きます。当地では世界でも有名なダイビングスポットが数多くありますが、その中の一つでダイバーの方には垂涎の的となっているラジャアンパット(Raja Ampat)をご紹介します。

インドネシアの東端に位置するラジャアンパットは伝承に基づく「4人の王」を意味するリゾート地です。但しインドネシアの人にバリ島以外でお勧めのリゾート地を聞くと大体ここの名前が出てくるのですが、実際に行った人はほぼ見ないというレアな場所でもあります。おそらくジャカルタからでも飛行機と船を乗り継いで6時間程掛かるという立地がレアな理由ですがそれにより綺麗な海の環境が守られています。約1500種類の魚、500種類の珊瑚、700種類の軟体動物、世界で最も豊かな珊瑚礁の生態系。。とウィキペディアでも紹介されていますが、このような数字よりも実際に潜ってみると、圧倒的な生物の多さが実感できます。 筆者も実際にダイビングツアーに参加しましたが、海の中で広々と続く珊瑚礁、数々の魚や生物、珍しいブラックマンタも身近で何匹も見る事ができて大満足でした。

インドネシアでは他にもマラトゥア・マナドといった有名ダイビングスポットが有り、その為日本人のダイビング同好会も複数あり、皆様のインドネシアでの生活を充実させてくれる事は間違いないと思います。当地へのご来訪をお待ちしております。

 

インド/広島商工会議所インド視察団によるオリジンズ・チェンナイ工業団地のご視察

2025年4月8日(火)、広島商工会議所インド視察団の皆様に当社がインド南部タミル・ナドゥ州、チェンナイにて開発・運営するオリジンズ・チェンナイ工業団地をご視察いただきました。

本視察団はグローバルサウスの中心国として今後世界経済を牽引する可能性を秘めているインドが現在急成長を続けている様子を、広島県内企業の皆様に実際に感じていただくために企画されました。

当社は2024年3月に広島県庁及びオリジンズ・チェンナイ工業団地間において、広島県内企業のインド進出を推進する協定書を締結しており、今回のご視察は広島県との連携活動の一環として実現したものです。

当日は約20名の皆様にご来訪頂き、オリジンズ・チェンナイ工業団地の高品質なインフラや操業支援に対して、高く評価するお言葉をいただきました。またご入居企業の操業及び工場建設が順調に進んでいる様子をご覧頂き、インドの盛り上がりを感じて頂くことができました。

オリジンズ・チェンナイ工業団地では当社派遣の日本人が2名常駐しており、皆様のご視察をいつでもお待ちしております!

【今月のコラム】ミャンマーにもサードウェーブコーヒー到来か!?

မင်္ဂလာပါ(ミンガラーバー:こんにちは!)

Myanmar Japan Thilawa Developmentの羽田です。

 

まず最初に、328日に発生したミャンマー中部大地震で被災された方々に対して心よりお見舞い申し上げます。

 

皆さん、ミャンマー産コーヒーが意外に美味しい事をご存知でしょうか?

最近、ヤンゴンの街中で「サードウェーブコーヒー到来か!?」と感じさせる程、小じゃれたカフェが増えてきており、筆者も週末に舌鼓を鳴らさせて頂いている。

 

@Petit Rangoon

 

実際、2016年にSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)が開催した品評会でミャンマー産コーヒーは、エントリーした60種のうち、56種が80点以上を獲得し、世界的なスペシャルティコーヒーの産地として世界中のコーヒー愛好家から注目を集めている。

 

という事で、今回は、ミャンマー産コーヒーを簡単に紹介させて頂く。

 

*好立地:

スペシャルティコーヒーの産地が多いミャンマー中部エリアは、良質なコーヒーを栽培できる“コーヒーベルト”に位置し、更に、コーヒーチェリーの糖分を増やす寒暖差の条件である標高1,3001,800mに在る。特に寒暖差が激しいマンダレー州ピンウールウィンやシャン州ユワンガンは、コーヒーチェリーをゆっくりと成熟させ、甘味が強くて深みがあり、又、後味も良い独特な風味を特徴としたスペシャルティコーヒーの産地として有名である。

*精製方法:

収穫したコーヒーチェリーからコーヒー豆を取り出す作業を“精製”といい、ミャンマー産コーヒーでは、「ナチュラル」と「ハニープロセス」という2つの精製方法が主流である。個人的なお勧めは「ナチュラル」。収穫したばかりのコーヒーチェリーをギンギンに照る太陽の下で天日干しさせ、自然に果肉が落ちた後、中から露出した豆だけを取り出す自然重視の精製方法。果肉の糖分が豆に浸透し、豆に独特のフルーティーな風味をもたらす。

*品種:

現在、ミャンマー産コーヒーの70%がアラビカ種、30%がロブスタ種。アラビカ種の主要品種は長らくインド原産のS795であったが、1980年代に導入したコスタリカのカトゥーラ(コーヒーの3大原種であるブルボンの変種)やカティモール(ハイブリッドティモールとカトゥーラの人工交配種)、ティピカ(コーヒーの3大原種の1つ)、スコットラボラトリーズがケニアで研究開発したSL34等の品種が積極的に導入されている。

*国際協力機構(JICA)や国連薬物犯罪事務所(UNODC)の支援:

 ケシが良く育つとされる標高1,3001,800mは、スペシャルティコーヒーの高さ条件と同じと言われている。

ミャンマー中部シャン州などで作付け作物の転換(ケシ⇒コーヒー)を後押しし、農家の生計改善を支援してきた縁の下の力持ちとしての国際協力機構(JICA)や国連薬物犯罪事務所(UNODC)による地道な努力がある。

 

@My Hill

 

もし近所のコーヒーロースターでミャンマー産コーヒーを見かけたら、ぜひ一度お試し頂きたい!

 

ティラワを護れ!!

ကျေးဇူးတင်ပါတယ်(チェーズーティンバーデー:ありがとございました!)

 

 

ティラワ経済特別区 / 羽田

【特別コラム】 新たな体制の下、大胆な改革とさらなる高成長を目指すベトナム

2024年のベトナムの実質GDP成長率は前年比+7.1%に上りました。前年(+5.1%)から大幅に加速し、政府目標(+6.8~7.0%)を上回る好調な結果となりました。通年での成長率が7%を超えるのは、コロナ禍の反動で+8%に上った2022年以来であり、1人当たりGDPは4,700ドルに達しました(下図参照)。ベトナム共産党は2021年の党大会で、2025年に1人当たりGDPを4,700~5,000ドルを目指すと宣言しましたが、その目標を1年前倒しで達成したことになります。

ベトナムの経済成長の大きなドライバーになっている輸出は、今後、米トランプ政権の保護主義的政策により、成長のペースが緩やかになる可能性があります。ベトナムは米国にとって主要な貿易赤字国の一つであり(2024年の貿易統計では中国、メキシコに次いで3位)、トランプ大統領は声高にベトナムを批判しています。米国との関係をどのようにマネージするかはベトナムにとって大きな課題の一つになるでしょう。一方、国内での消費と投資については、今後も堅調な拡大が見込まれます。海外からの投資も、トランプ政権の対中強硬政策により、脱中国シフトが続くことで、やはり堅調な拡大が続くとみられます。こうした状況を受け、先月、国会は、2025年の実質GDP成長率の目標を+8%以上に引き上げることを承認しました。

ベトナムでは、昨年8月、トー・ラム新書記長を中心とする新たな体制が発足しました。亡くなったチョン前書記長の体制下では、政争が激化し、党・国家の中枢にある幹部たちの辞任が相次ぎましたが、指導部が固まったことで、政治情勢は安定したとみられています。新たな体制は、腐敗の撲滅とともに、省庁の統合や公務員の削減など、統治機構の合理化を大胆に進め、また南北高速鉄道や原子力発電所の開発など、これまで中断していた大型プロジェクトを再稼働させようとしています。トランプ政権の関税政策に対処しつつ、来年に5年に一度の党大会を控える中、積極的な政策によってさらなる成長を目指す姿勢がうかがえます。一時的に行政手続きなどに影響が出る可能性はありますが、長期的には、ベトナムの投資先としての魅力がさらに高まることが期待されます。

 

住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト 石井順也
https://www.scgr.co.jp/analyst/junya_ishii/

【今月のコラム】~イベトナムのテト(旧正月)について~

ベトナムのテト(旧正月)は特別だ。ベトナムの祝祭日は少なく、年間稼働日が他諸国と比しても多いことは製造業にとっても
コスト競争力が高く、投資環境として有利になるのだが、個人ベースで考えればお休みは多いに越したことはない。
テトはベトナムで、貴重かつ最大の連休であり、みんなの気持ちが浮足立つのも仕方ないと思えてくる。

タンロン工業団地では社員総出で、地域の寺院やパゴダに初詣に行くことが恒例行事になっており、
会社のバスにみんなで乗ってお参りに行った。タンロン工業団地から車で15分、ハノイのメイリン地区にハイバーチュン寺院が
ある。ハイバーチュンは、二人の(ハイ)チュン姉妹という意味で(バーは女性の敬称)、西暦40年当時ベトナム北部は後漢の
支配下にあり、そこで起こった内乱を指導した英雄である。圧政に反発して果敢に戦った女性姉妹のハイバーチュンは、
ベトナムのジャンヌダルクとも呼ばれるそうで、毎年旧暦の2月3日~6日にはお祭りが開かれる。
今年の初詣の日は偶々旧暦2月6日にあたり、寺院でも何やら催し物が開かれていた。
一緒に行った社員の50歳代の女性は、「私は中学生時代からこのお祭りに来ていて、テト明け初日の学校だったんだけど、
友達と一緒に学校さぼって自転車に乗って、1時間かけてここまで来たのが思い出だわ。」とやんちゃなエピソードを楽しそうに
披露してくれました。ベトナムは豊かになり、都市化も進んで街並みは変わっていきますが、
テトの盛り上がりや風習はいつまでも変わらないのだろう。

 

タンロン工業団地 / 川辺

ハノイ市内にあるハイバーチュン通り


初詣に訪れる


入り口


像に乗って戦うチュン姉妹


何やら催し物


ここでも催し物


派手な衣装

ベトナム/第三タンロン工業団地(TLIP3)貸工場3棟完工

ベトナム・ビンフック省にて開発・運営する第三タンロン工業団地(TLIP3)において、貸工場3棟(No.6~8)が2025年2月に完工いたしました。賃貸面積は1,400m2から2,700m2規模になります。

今後も、現地の許認可申請などの行政手続きからその後の操業までサポートし、製造業を中心とした企業様のさらなる進出を後押しいたします。

貸工場等のご質問に関しましては、以下アドレス宛にお問い合わせいただけますと幸いです。

 

お問い合わせ先:scip-info@sumitomocorp.com

バングラデシュ経済特区 (BSEZ) / Singer Bangladesh Limited の開所式

2025年1月30日、BSEZの第一号入居企業であるSinger Bangladesh Limitedの開所式が開催されました。同社はトルコの最大財閥であるKocグループ傘下の家電メーカーであり、主にバングラデシュ国内市場向けに冷蔵庫やテレビ等を製造しています。開所式には駐バングラデシュトルコ大使、バングラデシュ投資開発庁・バングラデシュ経済特区庁長官、駐バングラデシュ日本国公使など政府関係者も参加され、盛大に執り行われました。

本式典は、バングラデシュ、トルコ、日本3国間による経済協力の新たな一歩を象徴するものです。BSEZはSinger Bangladesh Limitedをはじめとした入居企業への支援を通じ、バングラデシュの経済・産業の発展に寄与してまいります。

【今月のコラム】~インドの「なんでだろう?」~

MIPCの大井です。去年の4月よりマニラからチェンナイへ移駐しました。

気づけばもうすぐで当地に1年、海外生活が4年目に入ります。

「インドよりフィリピンが良かったでしょう、大変ですね。」こんなことをよく言われますが、

実は私にとってはそうでもなくて。良いところですよ、チェンナイ。

エンジョイするコツがありますので共有いたします。

 

「なんでだろう?」5歳の息子がよく言う言葉です。結構おすすめでして、次のように使います。

・雨が降ったらすぐ学校が休校になる。なんでだろう。

・外国人登録に必要な書類を全部提出しても追加資料が求められる。なんでだろう。

・素晴らしい木彫りのある、精巧な寺院、家具、建物がたくさんあるのに道路ががたがた。なんでだろう。

・ゼロスパイシーと言って注文したパスタが辛くて子供が食べられない。なんでだろう。

 

ほら、悩むのがばかばかしくなりませんか。最後のは子供が困るので、お店には申し訳ないですが

パスタは作り直してもらっています。

 

いろいろありますが、みんな同じ状況で力強く生きていますし、治安が良いし、人は控えめ穏やかで

やさしいし、新鮮な野菜果物・海鮮が入手できるし、緑が多くて天気が良いし、カレーがおいしいし。

あとは北部と比べて南部(チェンナイ)は文化的なところも意外と日本に似ているものがあり

(と言いますか当地が起源なのだろうなと思うものも多くておもしろい)。

他にも書ききれないくらい良いところがたくさんありますので、直接お話できればと思います。

 

是非一度見に来てください、お待ちしております。

 

オリジンズ・チェンナイ工業団地/大井

 

きれいな地下鉄


広大な学校キャンパス


立派な寺院


意外と米です(南部米文化特有のドーサという食べ物)


港街です


17時すぎに会社で出てくる 新鮮なフルーツ


そりゃ休校になるわ

ベトナム/第二タンロン工場団地 第3期開発区画(第3.2期先行区画) 造成工事完工

ベトナム・フンイエン省にて開発・運営する第二タンロン工業団地(TLIP2)において、第3.2期の内、先行開発区画(75ha)が2025年1月に完工いたしました。

TLIP2では第3期(181ha)区画を2分割して開発しており、昨年の第3.1期区画(57ha)に続いての完工となります。尚、第3.2期の残りの区画(49ha)については既に工事を開始しており、2025年中の完工を目指しております。

今後も、現地の許認可申請などの行政手続きからその後の操業までサポートし、製造業を中心とした企業様のさらなる進出を後押しいたします。

土地区画等のご質問に関しましては、以下アドレス宛にお問い合わせいただけますと幸いです。

 

 

お問い合わせ先:scip-info@sumitomocorp.com