【特別コラム】モディ政権3期目のインド トランプ政権の嵐の中でも堅調な発展が期待

インドでは202446月の総選挙が行われ、与党連合が勝利し、モディ政権は3期目に入ったものの、与党インド人民党(BJP)は議席を大幅に減らしました。インフレや経済成長の恩恵が受けられなかった農業従事者、失業者の不満が影響したとみられています。強力なリーダーシップで党を率いてきたモディ首相の求心力にも陰りが生じていると言われるようになりました。

 

しかしモディ政権は、これまでの産業強化政策に加え、低所得層や農業従事者への支援を強化し、インフレも沈静化に向かいました。その後の地方選挙では、野党側の足並みの乱れもあり、BJPはマハラシュトラ州やデリーなど主要な地域で勝利。モディ首相は党内での地位をあらためて固めたとみられています。当面、モディ政権は選挙の圧力にさらされることがなく、財政規律を維持しながら、減税、インフラ整備、製造業支援、規制改革、貿易自由化といった成長重視の政策を推進しています。

 

そうした中で、今年1月にトランプ米政権が発足し、インドには26%もの高い水準の「相互関税」が科されました。しかしモディ政権は、トランプ政権の政策を見越して一部の品目の関税を下げ、日本や英国と並んでいち早く米国との交渉を開始しました。トランプ大統領はインドとの関係を非常に重視しており、関税の一時停止の期限である79日までに暫定合意に至る可能性は十分にあると考えられます。なお、インドの対米輸出のGDP比は2%程度に過ぎず、インドの強みであるサービス輸出は対象になっていないため、他国と比べると、高関税の影響は限定的とみられます。

 

5月にはパキスタンとの軍事衝突が発生しましたが、4日後に停戦に至りました。パキスタンとの緊張は続いていますが、両国とも軍事衝突は望んでおらず、インドはパキスタンに経済的圧力をかけていく方針をとっています。この問題がインド経済に大きな影響を与えることは想定されておらず、またインド国内ではモディ首相の支持率は7割以上に高まっています。

 

インド経済は、2024年度(20244月~20253月)の実質GDP成長率が前年度比+6.5%と前年度の+9.2%から大きく減速したものの、インフレの沈静化と中銀の利下げにより、202546月期の成長率は前年同期比+7.4%に達しており、足元では回復傾向にあります。IMFは米国の高関税を織り込んだ上で、2025年度の見通しを+6.2%としています。世界経済は不確実性を増していますが、インドは内需中心の経済のため、外的ショックによって大きく落ち込むことはなく、前述のとおり国内政治も外交も安定的な状況にあり、今後も堅調な発展を続けていくことが予想されます。

 

住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト 石井順也

https://www.scgr.co.jp/analyst/junya_ishii/

 

【今月のコラム】タミルナド州の中にある連邦直轄地“ポンディシェリ”

いつもお世話になっております。マヒンドラ・オリジンズ工業団地の山下です。今回はタミルナド州の中にある連邦直轄地であるポンディシェリについてご紹介をさせて頂ければと思います。

 

インド全体の統治体制は連邦制となっており、28の州と8つの連邦直轄地があります。連邦直轄地とはその名の通り連邦政府に直接統治をされており、様々な歴史・地理的背景を持っている場所です。連邦直轄地が自治権を得て州となることもあり、現行の28州のうち7州が元々連邦直轄地でした。逆に州が自治権を失い連邦直轄地となった例もあり、2019年にジャンムー・カシミール州はラダック連邦直轄地とジャンムー・カシミール連邦直轄地に分割された上で連邦政府直轄地に加わった背景があります。

 

さて、今回ご紹介するポンディシェリですが、チェンナイから南に約3時間ほど車を走らせると辿り着く海岸沿いの連邦直轄地です。1673年にフランス東インド会社がこの辺りの土地を購入した事に端を発し、1954年までフランス領でした。その為、フランス文化が残るインドの街としてチェンナイ在住者だけでなくインド全体から観光客がやってくる場所として有名です。

 

私も先日ポンディシェリに旅行をしましたので、簡単に写真を紹介させて頂きます。

 

  • 海岸沿い。フランス領の名残はあまり感じませんが、チェンナイより綺麗に整備されている印象です。

 

  • White Townと呼ばれる旧市街にはフランス様式のカラフルな建物が沢山あります。

 

  • フランス様式のブティックホテルもいくつかあり、宿泊しても楽しい場所です。

 

 

  • ワインとフランス料理を楽しむ事も出来ます。

 

 

以上、ポンディシェリのご紹介でした。タミルナド州・チェンナイはこれ以外にも様々な顔があり、文化的な魅力にも溢れる場所です。是非一度チェンナイにお越し頂けることを、弊社一同お待ち申し上げております!

 

現在オリジンズ・チェンナイ工業団地は第二期区画の開発を進めております。第二期区画に関しても既にご案内を開始しておりますので、お気軽にコンタクトを頂けますと幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。

 

マヒンドラ・オリジンズ工業団地 / 山下

【今月のコラム】フィリピンの選挙ってどんな感じ? 2025年の中間選挙をざっくり解説

「フィリピンって、ちょっと治安が悪そう…」「発展途上国ってイメージ」——そんな印象を持っている日本人、実はまだ多いと思います。でも実際に見てみると、フィリピンは若くて元気で、政治もめちゃくちゃダイナミックな国なんです。今回は、20255月に行われた中間選挙という大きな政治イベントについて、できるだけわかりやすく紹介してみます。

まず、フィリピンの政治の仕組みをざっくり説明すると、アメリカに似た「大統領制」を採用しています。大統領の任期は6年で再選は禁止。副大統領は別々に選ばれるので、大統領と仲が悪いこともあるのが面白いところです。国会は二院制で、上院(Senate)と下院(House of Representatives)があります。上院は全国区で24人が選ばれ、任期は6年。ただし、3年ごとに半数(12人)ずつ改選されます。今回の選挙がまさにその中間選挙にあたり、上院議員の半分を選ぶと同時に、地方の首長や議員も選ばれました。そして今回の注目ポイントは、現職のマルコス大統領と、サラ・ドゥテルテ副大統領の対立。もともと2022年の大統領選ではタッグを組んで当選した二人ですが、今は完全に冷戦状態に突入しています。そんな中での選挙だったので、国内の注目度もかなり高かったです。

サラ・ドゥテルテは、前大統領ロドリゴ・ドゥテルテの娘。強烈な政治的影響力を持つ彼女が支援した候補者たちは大健闘し、上院の12議席中5議席を獲得。その中には、父親の側近だったボン・ゴーやデラ・ロサといった、前政権のキーマンも含まれています。

一方で、マルコス大統領が後押しした候補者たちはやや振るわず、6議席にとどまりました。これにより「政権の求心力が落ちてきているのでは?」という声も出ています。さらに驚くべきことに現在、オランダの国際刑事裁判所に収監中のロドリゴ・ドゥテルテ前大統領が、地元ダバオ市の市長選に出馬して当選。しかも彼の息子・セバスチャンも副市長に選ばれ、まさに“ドゥテルテ王朝”が地方政治では依然として健在であることが示されました。この選挙結果を受けて、サラ・ドゥテルテが2028年の大統領選に出馬する可能性がぐっと高まりました。逆にマルコス大統領は、彼女への弾劾を進めたくても政治的な後ろ盾が弱まり、思うように動けなくなるかもしれません。ちなみに今回は、韓国製の最新型自動集計機(ACM)が使われて、投票と開票のプロセスがスムーズになったとも言われています。とはいえ、政治家の多くが世襲だったり、家族単位で権力を持っていたりと、王朝政治の色合いはまだまだ濃いのが現実です。

フィリピンの政治を見ていて思うのは、「人」がすべてだということ。政党よりも人物、思想よりも家系やつながり、そしてタイミングがすごく大事。日本では考えられないようなことが普通に起きる一方で、国民の政治への関心も高く、エネルギーにあふれています。2025年の中間選挙は、そんなフィリピンの政治のがぎゅっと詰まった、見応えある選挙でした。ちょっと意外で、ちょっと面白い——そんなフィリピン政治、気になったらまた覗いてみてください。

 

First Philippine Industrial Park / 栗生

◆ベトナム/タンロン工業団地(TLIP1)石破内閣総理大臣ご来臨

2025年4月27日、ベトナム・ハノイ市にて開発・運営するタンロン工業団地(TLIP1)に石破内閣総理大臣がご来臨されました。

キヤノンベトナム社の工場ご視察後、ご入居企業各社(キヤノンベトナム社、デンソー・マニュファクチャリング・ベトナム社、MHI Aerospace ベトナム社、TOTOベトナム社、TLIP1)との対話会を開催し、日系製造業の現状と課題について意見交換が行われました。

今後も、変化の激しい国際情勢に的確に対応するべく日越両政府と緊密に連携し、製造業を中心とした企業様を支えるプラットフォームとして、安定したご操業やご進出のサポートに努め、ベトナムの豊かさと夢の実現に貢献して参ります。

土地区画や貸工場等のお問合せは、以下アドレス宛にいただけますと幸いです。

お問い合わせ先:scip-info@sumitomocorp.com

 

◆ベトナム/第三タンロン工業団地(TLIP3)神奈川産業振興センターと相互協力に関する協定締結

2025年3月19日、ベトナム・ビンフック省にて開発・運営する第三タンロン工業団地(TLIP3)は、神奈川県産業振興センター(KIP)と同県内企業のベトナムにおける事業展開を支援することを目的に相互協力に関する協定を締結いたしました。なお2015年には第二タンロン工業団地(TLIP2)との相互協力に関する協定を締結しており、この度TLIP3が同様の協定を締結したものです。

KIPは同県内中小企業の海外進出を支援するため、神奈川インダストリアルパーク事業としてベトナム国内の工業団地と連携を進めています。TLIP2/3には同県内企業5社が入居しており、更なる進出を支援するため、ベトナムへの投資促進を目的としたセミナーの共催等を通じた投資関連情報の提供や、TLIP3貸工場へご進出頂いた際の優遇措置の供与等、多岐にわたり連携をはかってまいります。

今後も、現地の許認可申請などの各種行政手続きから、操業開始後のフォローまで一貫したサポートを通じて、製造業を中心とした企業様のさらなる進出を後押しいたします。

貸工場等のご質問に関しましては、以下アドレス宛にお問い合わせいただけますと幸いです。

お問い合わせ先:scip-info@sumitomocorp.com

 

(本協定の概要)
1. 協力内容
(1) 日本国内外で開催するベトナムへの投資促進に関するセミナーの共同実施

(2) 県内企業の貸工場への視察対応

(3) 貸工場の建設計画及び入居状況についての情報共有

(4) 貸工場への入居を希望する県内企業の情報共有

(5) その他、県内企業の貸工場への進出及び進出後の事業展開を支援のための相互協力

2. 優遇措置
(1) 対象団地
ベトナム・ハノイ近郊にある「第三タンロン工業団地」内のレンタル工場

(2) 対象企業
神奈川県内に本社又は製造拠点を有する法人

(3) 措置内容
① 工業団地入居時の管理費を1年間免除
② ベトナムでの現地法人設立手続きに関する費用の免除(翻訳費用等の実費は除く)

 

 

 

 

【特別コラム】トランプ関税とアジア

トランプ米政権の関税政策が世界を揺さぶっていますが、インドネシアも例外ではありません。全世界に適用される鉄鋼・アルミ関税と自動車関税に加え、特に大きな衝撃を与えているのは、4月2日に発表された、国ごとに異なる関税率が設定される「相互関税」です。インドネシアには32%という高い水準が設定され、IMFが4月22日に発表した世界経済見通しでは、2025年のインドネシアの経済成長率は従来の見通しから0.4%下がり、4.7%にとどまるとの予想が示されました。もっとも、インドネシアの対米輸出は経済全体の中でそれほど大きな割合を占めるものではなく、GDPの約2%にとどまります。このため、タイ、マレーシア、ベトナムといった、対米輸出依存度が高い他ほかの東南アジア主要国と比べると、その影響は限定的と考えられます(下図参照)。

               (出所:米ホワイトハウス、米商務省、IMF、UN)
              ※米財貿易赤字、対米輸出金額、GDP比は2024年

トランプ米政権は4月9日に相互関税の上乗せ分の90日間の停止を発表しましたが(10%の一律関税は継続)、プラボウォ政権は、迅速にトランプ政権との関税交渉に乗り出し、早くも4月17日に米国で閣僚レベルの協議が行われました。インドネシアのアイルランガ調整相(経済担当)は、米国からのエネルギー(石油、ガス)と農産物(大豆、小麦等)の輸入拡大、重要鉱物分野の協力による米国からの投資促進、非関税障壁の解消に向けた取り組みなどを米側に伝えています。

プラボウォ大統領は、現地調達基準(国産化規制)の緩和や輸入割当量の廃止に取り組むことで、非関税障壁の解消を実現すると明言しました。これらの保護主義的な措置は、インドネシアの伝統的な保護主義を体現するものであり、かねてから産業界から改善の要望が寄せられていました。プラボウォ政権の経済政策は自国中心的な傾向がみられ、外国投資家から警戒される面もあったのですが、トランプ米政権の関税政策を受け、改革に向けた機運やテクノクラートの存在感が高まっているようです。トランプ米政権の大胆な政策により、世界経済は不確実性を強めていますが、外的環境の変化が国内改革への原動力をもたらし、長い目で見れば投資環境の改善につながる可能性も出てきています。

 

住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト 石井順也
https://www.scgr.co.jp/analyst/junya_ishii/

【今月のコラム】~魅惑のラジャアンパット~

皆様、いつもお世話になっております。インドネシア・イーストジャカルタ工業団地/吉田です。
さて今回はインドネシアのダイビングに付いてお話をさせて頂きます。当地では世界でも有名なダイビングスポットが数多くありますが、その中の一つでダイバーの方には垂涎の的となっているラジャアンパット(Raja Ampat)をご紹介します。

インドネシアの東端に位置するラジャアンパットは伝承に基づく「4人の王」を意味するリゾート地です。但しインドネシアの人にバリ島以外でお勧めのリゾート地を聞くと大体ここの名前が出てくるのですが、実際に行った人はほぼ見ないというレアな場所でもあります。おそらくジャカルタからでも飛行機と船を乗り継いで6時間程掛かるという立地がレアな理由ですがそれにより綺麗な海の環境が守られています。約1500種類の魚、500種類の珊瑚、700種類の軟体動物、世界で最も豊かな珊瑚礁の生態系。。とウィキペディアでも紹介されていますが、このような数字よりも実際に潜ってみると、圧倒的な生物の多さが実感できます。 筆者も実際にダイビングツアーに参加しましたが、海の中で広々と続く珊瑚礁、数々の魚や生物、珍しいブラックマンタも身近で何匹も見る事ができて大満足でした。

インドネシアでは他にもマラトゥア・マナドといった有名ダイビングスポットが有り、その為日本人のダイビング同好会も複数あり、皆様のインドネシアでの生活を充実させてくれる事は間違いないと思います。当地へのご来訪をお待ちしております。

 

インド/広島商工会議所インド視察団によるオリジンズ・チェンナイ工業団地のご視察

2025年4月8日(火)、広島商工会議所インド視察団の皆様に当社がインド南部タミル・ナドゥ州、チェンナイにて開発・運営するオリジンズ・チェンナイ工業団地をご視察いただきました。

本視察団はグローバルサウスの中心国として今後世界経済を牽引する可能性を秘めているインドが現在急成長を続けている様子を、広島県内企業の皆様に実際に感じていただくために企画されました。

当社は2024年3月に広島県庁及びオリジンズ・チェンナイ工業団地間において、広島県内企業のインド進出を推進する協定書を締結しており、今回のご視察は広島県との連携活動の一環として実現したものです。

当日は約20名の皆様にご来訪頂き、オリジンズ・チェンナイ工業団地の高品質なインフラや操業支援に対して、高く評価するお言葉をいただきました。またご入居企業の操業及び工場建設が順調に進んでいる様子をご覧頂き、インドの盛り上がりを感じて頂くことができました。

オリジンズ・チェンナイ工業団地では当社派遣の日本人が2名常駐しており、皆様のご視察をいつでもお待ちしております!

【今月のコラム】ミャンマーにもサードウェーブコーヒー到来か!?

မင်္ဂလာပါ(ミンガラーバー:こんにちは!)

Myanmar Japan Thilawa Developmentの羽田です。

 

まず最初に、328日に発生したミャンマー中部大地震で被災された方々に対して心よりお見舞い申し上げます。

 

皆さん、ミャンマー産コーヒーが意外に美味しい事をご存知でしょうか?

最近、ヤンゴンの街中で「サードウェーブコーヒー到来か!?」と感じさせる程、小じゃれたカフェが増えてきており、筆者も週末に舌鼓を鳴らさせて頂いている。

 

@Petit Rangoon

 

実際、2016年にSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)が開催した品評会でミャンマー産コーヒーは、エントリーした60種のうち、56種が80点以上を獲得し、世界的なスペシャルティコーヒーの産地として世界中のコーヒー愛好家から注目を集めている。

 

という事で、今回は、ミャンマー産コーヒーを簡単に紹介させて頂く。

 

*好立地:

スペシャルティコーヒーの産地が多いミャンマー中部エリアは、良質なコーヒーを栽培できる“コーヒーベルト”に位置し、更に、コーヒーチェリーの糖分を増やす寒暖差の条件である標高1,3001,800mに在る。特に寒暖差が激しいマンダレー州ピンウールウィンやシャン州ユワンガンは、コーヒーチェリーをゆっくりと成熟させ、甘味が強くて深みがあり、又、後味も良い独特な風味を特徴としたスペシャルティコーヒーの産地として有名である。

*精製方法:

収穫したコーヒーチェリーからコーヒー豆を取り出す作業を“精製”といい、ミャンマー産コーヒーでは、「ナチュラル」と「ハニープロセス」という2つの精製方法が主流である。個人的なお勧めは「ナチュラル」。収穫したばかりのコーヒーチェリーをギンギンに照る太陽の下で天日干しさせ、自然に果肉が落ちた後、中から露出した豆だけを取り出す自然重視の精製方法。果肉の糖分が豆に浸透し、豆に独特のフルーティーな風味をもたらす。

*品種:

現在、ミャンマー産コーヒーの70%がアラビカ種、30%がロブスタ種。アラビカ種の主要品種は長らくインド原産のS795であったが、1980年代に導入したコスタリカのカトゥーラ(コーヒーの3大原種であるブルボンの変種)やカティモール(ハイブリッドティモールとカトゥーラの人工交配種)、ティピカ(コーヒーの3大原種の1つ)、スコットラボラトリーズがケニアで研究開発したSL34等の品種が積極的に導入されている。

*国際協力機構(JICA)や国連薬物犯罪事務所(UNODC)の支援:

 ケシが良く育つとされる標高1,3001,800mは、スペシャルティコーヒーの高さ条件と同じと言われている。

ミャンマー中部シャン州などで作付け作物の転換(ケシ⇒コーヒー)を後押しし、農家の生計改善を支援してきた縁の下の力持ちとしての国際協力機構(JICA)や国連薬物犯罪事務所(UNODC)による地道な努力がある。

 

@My Hill

 

もし近所のコーヒーロースターでミャンマー産コーヒーを見かけたら、ぜひ一度お試し頂きたい!

 

ティラワを護れ!!

ကျေးဇူးတင်ပါတယ်(チェーズーティンバーデー:ありがとございました!)

 

 

ティラワ経済特別区 / 羽田

【特別コラム】 新たな体制の下、大胆な改革とさらなる高成長を目指すベトナム

2024年のベトナムの実質GDP成長率は前年比+7.1%に上りました。前年(+5.1%)から大幅に加速し、政府目標(+6.8~7.0%)を上回る好調な結果となりました。通年での成長率が7%を超えるのは、コロナ禍の反動で+8%に上った2022年以来であり、1人当たりGDPは4,700ドルに達しました(下図参照)。ベトナム共産党は2021年の党大会で、2025年に1人当たりGDPを4,700~5,000ドルを目指すと宣言しましたが、その目標を1年前倒しで達成したことになります。

ベトナムの経済成長の大きなドライバーになっている輸出は、今後、米トランプ政権の保護主義的政策により、成長のペースが緩やかになる可能性があります。ベトナムは米国にとって主要な貿易赤字国の一つであり(2024年の貿易統計では中国、メキシコに次いで3位)、トランプ大統領は声高にベトナムを批判しています。米国との関係をどのようにマネージするかはベトナムにとって大きな課題の一つになるでしょう。一方、国内での消費と投資については、今後も堅調な拡大が見込まれます。海外からの投資も、トランプ政権の対中強硬政策により、脱中国シフトが続くことで、やはり堅調な拡大が続くとみられます。こうした状況を受け、先月、国会は、2025年の実質GDP成長率の目標を+8%以上に引き上げることを承認しました。

ベトナムでは、昨年8月、トー・ラム新書記長を中心とする新たな体制が発足しました。亡くなったチョン前書記長の体制下では、政争が激化し、党・国家の中枢にある幹部たちの辞任が相次ぎましたが、指導部が固まったことで、政治情勢は安定したとみられています。新たな体制は、腐敗の撲滅とともに、省庁の統合や公務員の削減など、統治機構の合理化を大胆に進め、また南北高速鉄道や原子力発電所の開発など、これまで中断していた大型プロジェクトを再稼働させようとしています。トランプ政権の関税政策に対処しつつ、来年に5年に一度の党大会を控える中、積極的な政策によってさらなる成長を目指す姿勢がうかがえます。一時的に行政手続きなどに影響が出る可能性はありますが、長期的には、ベトナムの投資先としての魅力がさらに高まることが期待されます。

 

住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト 石井順也
https://www.scgr.co.jp/analyst/junya_ishii/