【今月のコラム】~広がる空のネットワーク、フィリピンの新しい可能性~
10月1日、エア・インディア(Air India)がインド・ニューデリーとフィリピン・マニラを結ぶ直行便を就航しました。
インドからフィリピンへの直行便は史上初で、週5便(月・水・木・土・日)の運航です。これまで両国を行き来するには乗り継ぎが必要でしたが、デリー⇔マニラ間を約6時間半で結ぶ直行便の開設によって、両国の距離は物理的にも心理的にもぐっと近づきました。日本からフィリピンへのアクセスの良さは近年、成田や関空などからマニラ、セブ、クラークなどへの直行便が拡充され、以前よりもずっと身近な存在になりました。フィリピンの国際空港の整備も着実に進んでおり、東南アジアの中でも「アクセスしやすく、滞在しやすい国」として注目されています。最近では空港やインフラの整備が進み、国際線ネットワークの要としての存在感も高まってきました。
このインドーフィリピン間の意義は、単なる観光需要の拡大にとどまりません。フィリピンにとって、南アジアとの接続を強化することは、観光、貿易、人材交流など幅広い分野に新しいチャンスをもたらします。インドでは中間層が急速に拡大しており、海外旅行の需要が高まっています。これまで多くのインド人旅行者はタイやバリを訪れていましたが、今後はフィリピンも「次の人気リゾート地」として選ばれる可能性があります。
フィリピンには、美しい海や自然、英語が通じる環境、そして何よりも人々の温かさという強みがあります。これらは、インドの人々にとっても大きな魅力です。観光省も、南アジア市場の開拓を今後の重点戦略のひとつに掲げており、今回のエア・インディア便はその起爆剤となりそうです。さらに、経済・ビジネス面でも期待が高まっています。インドはITやエンジニアリング分野で世界をリードしており、フィリピンもBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やサービス業で国際的な競争力を持っています。両国の強みが交われば、新しい協力関係が生まれ、人材交流や教育連携のチャンスも広がるでしょう。物流の観点からも、今回の就航は大きな意味を持ちます。世界のサプライチェーンが再構築される中、フィリピンは東南アジアと南アジアをつなぐ「ハブ」としての役割を果たし始めています。マニラやクラーク周辺では空港拡張や物流拠点の整備が進んでおり、今後の投資誘致にも追い風となりそうです。フィリピンは長い歴史の中で、多様な文化や影響を取り入れながら、自分たちのアイデンティティを築いてきた国です。だからこそ、国際化の波の中でこそ「フィリピンらしさ」を再発見するチャンスでもあります。
エア・インディアのデリー=マニラ直行便は、単なる航空路線の開設ではありません。アジアの中でフィリピンがより広く、より深く世界とつながっていくためのきっかけです。空がつながれば、人が動き、ビジネスチャンスも動き出します。そんな変化がここフィリピンでも少しずつ始まっています。フィリピンはこれからもっとにぎやかになりそうです。
First Philippine Industrial Park / 栗生
⼯業団地ユニット