トピックス

Topicsトピックス

海外進出支援なら住友商事トピックス【今月のコラム】~ベトナムでの「お祝い」の一言に込められた想い~
2026.08.25 ベトナム

【今月のコラム】~ベトナムでの「お祝い」の一言に込められた想い~

ベトナムのタンロン工業団地に出向しております、此木です。2025年10月より本赴任し、早いもので残り2か月で1年が経とうとしています。これまで何度もベトナムを訪れておりましたが、実際に暮らし、現地の方々と日々仕事をするようになると、まだまだ知らない文化や価値観に出会うことばかりです。今回は、その中でもベトナムの「お祝いの文化」についてご紹介したいと思います。

タンロン工業団地で働き始めてから、「ベトナムでは、お祝い事が本当に多いですね」と、お客様や関係者の方々と話題になることがよくあります。確かに、ベトナムでは国の祝日や会社の創立記念日、旧正月、女性の日など、お祝いの機会が数多くあります。プライベートでも誕生日や結婚式、昇進など、人生の節目を大切にする文化が根付いています。
日本にも大安などの日柄を大切にする文化はありますが、ベトナムでは「人生や事業の節目を皆で喜び、その先の幸運や繁栄まで願う」という文化が、日常の中に深く息づいているように感じます。
実際、職場でも女性の日や社員の誕生日には、全員でケーキを囲み、花束を贈り合い、記念写真を撮る光景をよく目にします。スタッフに話を聞くと、「仕事ももちろん大切だけれど、人とのつながりを深めることも同じくらい大切」という考え方なのだそうです。職場を”もう一つの家族”のように考え、お祝いの時間を通じて仲間との絆を深める。そんな企業文化も、ベトナムのお祝い文化を支えているのだと感じました。そのため、事業の成功や家族の繁栄を願い、風水や旧暦を参考にすることは今でも一般的で、着工日だけでなく、契約締結日や開業日、引っ越しの日まで、その日に合わせて予定を調整する企業様や家庭も珍しくありません。

また、お祝いの言葉として、日本では「おめでとうございます」の一言で済む場面でも、ベトナム語には相手の未来を具体的に願う表現が数多くあります。例えば、企業の節目では “Chúc công ty ngày càng phát triển”(会社がますます発展しますように)という言葉をよく耳にします。この表現の中にある”ngày càng”は、「日ごとに」「ますます」という意味です。
単に「発展しますように」と願うのではなく、「日を追うごとに、ますます発展しますように」と、その先の未来まで願う。この表現には、「今ある成功を祝うだけではなく、その先の成長まで皆で応援する」という、ベトナムらしい価値観が表れているように思います。

そして、その考え方は、我々の工業団地事業にもどこか通じるものがあります。投資許可や建設に向けた行政手続き、操業開始、さらにはその先の事業拡大まで、お客様とは何年、何十年という長いお付き合いが続きます。社内でも、「ご契約は、お付き合いの始まり」という言葉を大切にしています。
だからこそ、ベトナムで交わされる「会社がますます発展しますように」という祝いの言葉は、私たちの事業が大切にしている考え方とも重なり、以前よりもずっと心に響くようになりました。それは契約や工場完成という”今日”だけを祝う言葉ではなく、その会社が十年後、二十年後もこの地で発展し、地域とともに歩み続ける未来までを願う言葉であり、その一言の裏側には、人との縁を大切にし、相手の未来の繁栄を自分のことのように願う、この国ならではの温かい価値観を感じます。

私自身も、お客様一社一社の未来に長く寄り添い、その発展をともに喜べる存在でありたい。そして「ご契約は、お付き合いの始まり」という思いを胸に、このベトナムという成長の地で、お客様とともに歩み続けていきたいと思います。

タンロン工業団地/此木